相続人が揉めない遺言書を作成してますか?

遺言  

遺言書

突然ですが、遺言って、とても素敵ですね!

お客様から遺言に関するお仕事のご依頼を頂いた時に、お話の中で作成するに至った経緯や思いをお聞かせいただくことがありますが、涙腺の弱い私としては感動して涙が出そうな時がしばしばあります。

なぜ感動するかと言うと遺言書には、法的に効力を有しない「付言事項(ふげんじこう)」というものを記載することができるので家族に思いを伝えることもできるためです。

遺言書の付言事項

付言事項の例として、「○○ちゃんありがとう、お母さんは本当に感謝してます。これからも姉妹仲良くしてね。」など遺産の分配には関係の無い文言を記載することができます。短い言葉の中にたくさんの思いや願いが詰め込まれているので、この付言事項をお客様から添えていただくと本当に遺言に携わる仕事をしていて良かったなと感じ入ることが多々あります。

遺言は遺産の分配方法として効果的であるのはもちろんですが、付言事項を活用することで受遺者(遺言によって遺産の贈与を受ける人)や受遺者になれなかった相続人にも思いを直接伝えることができるので遺産相続における紛争を未然に防ぐ手段としても有効です。

もちろん、受遺者になれなかった相続人は「なぜ、自分には遺産を分けてくれないのか?」と怒ることもあるでしょうから遺言も一概には万能とは言い切れない所もありますが、遺言書が無かったために、相続時の遺産分割協議が中々まとまらないといったことを回避できる可能性もあります。

自筆証書遺言の検認数および公正証書作成件数

遺言を書いている方は近年、増加傾向にあります。実際に自筆証書遺言を作成された方の件数がどれくらいあるかは不明ですが、自筆証書遺言を発見した相続人は家庭裁判所にて検認を受ける必要があります。家庭裁判所の調べによると自筆証書遺言の検認件数として、昭和60年は3301件、平成10年は8825件、平成25年は16708件と年々増加しています。

なお、検認とは、申立のあった遺言の存在および内容を家庭裁判所より相続人に知らせること並び遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きとなります。

それに対して下のグラフは、過去10年で公証役場で作成された公正証書遺言の作成件数になりますが、こちらも増加傾向にあります。(参照元:日本公証人連合会)

遺言公正証書作成件数推移

自筆証書遺言に比べて公正証書遺言のデメリットは、公証人にお支払いする費用が余分にかかることがありますが、遺言の保全といった側面からも多く活用されています。

公正証書遺言を作成したいとお考えの方は、遺言書ページへ ここで、費用をあまりかけたくないと自筆証書遺言を検討されている方に朗報です!

平成30年3月13日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案並びに法務局における遺言書の保管等に関する法律案が国会に提出されました。

自筆証書遺言の作成方法は民法で厳格に定められているため、公正証書遺言と異なり、実際に効力を有しない遺言書を作成をしてしまうケースや高齢になってからも手書きで書かないといけないといったことや自宅等で保管して紛失の恐れがあることや家庭裁判所にて開封・検認の手続きが必要であるといったデメリットがありましたが、上記の法律案によると、以下の手続きが緩和されます。

  • 財産目録はワープロ等で作成してもよい。(本文は自署が必要のままとなりますのでご注意ください。)
  • 遺言書を法務局で保管できる。
  • 家庭裁判所の検認が不要となる。

法律案が可決したら追ってお伝えしていきたいと思います。

では、自分で遺言書を書いてみようと思った方は、他の人がどんな気持ちで遺言書を書いたか知りたくはありませんか?

遺言を書こうと思った方の思いを箇条書きにして挙げてみたいと思います。

遺言者の思いの事例

  • テレビを見ていたら、遺言書を書いてみようと思った。
  • 自分の親の相続の時に揉めたので、子供たちには揉めてほしくないから。
  • 相続人に喧嘩して欲しくない。
  • 子供たちに相続のことで喧嘩してほしくないから法定相続分どおりに分けることをあえて明記する。
  • 不動産は特定の子供へ、残りの銀行預金は他の子供へ分ける。
  • 全ての財産を特定の子供へ相続させる。
  • 面倒をよくみてくれたからありがとうと伝えたい。
  • 遺留分が心配になる。
  • 遺言どおりに相続してくれるだろうか?
  • ちゃんと書けているだろうか?

などがあります。

遺言は自分が亡くなった後に実行されるので、確かめることができないので不安になると思います。

そんな時に遺言に実現に向けて有効なのが遺言執行者をあらかじめ定めておくことです。

遺言執行者とは

遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。(民法第1006条1項)

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。(民法第1012条)

つまり、遺言書に、遺言の実現をしてくれる人を定めて、その方に自分が亡くなった後には遺言どおりに財産の分配などをきっちり行ってくださいね。といった事をあらかじめ定めておくことができます。

もちろん、遺言執行者に事前に連絡しておくのも構いませんし、あえて連絡しなくても構いません。

さらに、遺言執行者は受遺者もなれますし、その他の第三者もなることができます。

例えば、子供3人に遺産を均等に分け与える遺言を作成し、その内の一人だけを遺言執行者に定めることも可能ですし、子供全員を遺言執行者に定めることも可能です。あるいは司法書士や弁護士などの専門家に依頼することも可能です。

遺留分にはご注意を!

様々な方法で財産を分け与えたいとお考えだと思いますが、ここで1点注意しなければならないことがあります。特定の者だけにたくさんの遺産を分け与えてしまうと残された配偶者や子供などには「遺留分」といったものが発生します。この遺留分によって、相続分の最低保証がされます。

そして、遺留分減殺請求は相続開始および減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年以内に行使する必要があります。行使の仕方は、口頭でも構いませんが、後々、争いになることも多いことから書面で行うことが一般的です。

もっとも、遺留分が発生したとしても、行使するかしないかは本人のお気持ち次第です。

遺留分減殺請求は特定の者に相続(遺贈)させた特定の不動産に対しても行使することもできるので、遺留分減殺請求の対象がその不動産にされた場合、遺言で相続(遺贈)した人と遺留分減殺請求を行使した人の間で不動産が共有されることになり、せっかくの遺言が台無しになる可能性もあります。そのため、遺留分減殺請求の対象を指定することで共有を回避することができます。

遺留分減殺方法の指定

遺留分減殺請求の対象財産が複数ある場合においては、その対象財産の価額の割合に応じて減殺されるのが原則ですが、遺言者が別段の意思表示をした場合には、その意思表示に従って減殺の対象や割合が決定されます。

例えば、「遺言者は、遺留分の減殺は、○○に相続させる預貯金からすべきものと定める。」や「遺言者は○○から遺留分減殺請求をあった場合は、○○に相続させるとした不動産を換価処分し、その換価代金をもって価格弁償する方法によることを指定する。」といった文言を足しておくことで遺留分減殺請求を行使されても価格賠償することができ、不動産の共有を回避することもできます。

最後に

遺言は何度でも撤回できますので、遺言が書くのは不安だなぁと思われた方でも一度書いてみてください。ただし、無差別テロみたいに無作為に乱発するのは避けてください。どれが最新の遺言が分からなくなりますので。

書いてみたけどそれでも不安と感じる方やもっと良い内容の文言があるのではと思われている方はお気軽に弊所までご連絡ください。

無料でアドバイスさせていただきますのできっとお力になれると思います。

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大阪市北区豊崎三丁目4番14号ショーレイビル601 やまぎわやすたか司法書士事務所 代表 司法書士 山際 康峰

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