遺言執行者としての司法書士の役割りとは?遺言執行者の任務も解説!

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こんにちは、司法書士法人やまぎわです。

遺言執行者という言葉を聞いたことがある読者の方はいると思いますが、その遺言執行者がおこなう任務や内容まで詳しく知っている人は少ないと思います。

今回のブログでは、遺言執行者の任務とは何か、遺言執行者が必要なケースは、遺言執行者を司法書士などの専門家に依頼するメリットとデメリットなどをわかりやすく解説します。

これから遺言書の作成をお考えの読者の方にとっては必見の内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

遺言執行者の任務とは?遺言執行者になれる人やできることを解説!

司法書士が説明します

亡くなった人(被相続人)が遺言書を遺していた場合には、「遺言執行者」が記載されていることがあります。

公正証書遺言であれば、ほとんどの遺言書に遺言執行者の記載がありますが、自筆証書遺言では遺言執行者の記載がないことがほとんどです。これは一般的に、遺言執行者の役割りが世間に認知されていないことが原因になります。

遺言書で遺言執行者を指定することは、相続が発生した際、その遺言書に基づいて相続手続きをする時にとても役立つ内容となっています。遺言執行者は、司法書士などの専門家と相続人の誰かを指定することができますが、遺言執行者に司法書士を指定するメリットについては、このブログの後半で解説いたします。

まずは、遺言執行者の任務や役割りなどから解説を始めましょう。

遺言執行者の役割りについて解説します。

まず、遺言の執行とは、その名の通りで遺言の内容通りに遺言者の意思を実現することで、主には相続財産の名義変更や金融資産の分配手続きになります。

遺言執行者とは、相続人全員の代わりに遺言の内容を実現できる者になります。遺言執行者は遺言書で指定されることが多いですが、遺言執行者の指定がない場合は家庭裁判所で遺言執行者を選任をしてもらうこともできます。ただし、家庭裁判所の手続きは日数がかかりますので遺言書に遺言執行者を定めておく方が望ましいです。

遺言執行者になれる人は誰かを解説します。

遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば誰でもなることができます。個人でも法人でも一人でも複数でも遺言執行者になることが可能です。

相続人や受遺者でも遺言執行者になることは可能ですが、利害関係者が遺言執行者になることで他の相続人ともめることもありますので、後述する信頼できて公平である第三者として専門家に選任してもらうことが望ましいと思います。専門家である司法書士に遺言執行者になってもらう場合は遺言書の作成のタイミングから関与してもらう必要があります。

仮に遺言執行者として相続人が定められていても、専門家である司法書士に遺言執行を委任する(復任権)ことも可能です。

遺言執行者ができることを解説します。

遺言書に定められている場合、遺言執行者ができることは以下の行為になります。以下の行為の中には遺言執行者でなければできないこともあります。

子供の認知
遺言執行者のみができる手続きです。市区町村に戸籍の届出をします。

相続人の廃除と廃除の取消
遺言執行者のみができる手続きです。家庭裁判所へ申し立てします。

遺贈と遺産分割方法の指定と寄付行為
遺言執行者および相続人全員でできる手続きです。相続人全員の協力が得られない場合は、遺言執行者の選任が必要になります。

相続財産の名義変更手続き
遺言執行者および相続人全員でできる手続きです。不動産の名義変更手続きは、司法書士に委任して司法書士が登記申請することとなります。なお、遺言執行者自身が登記申請や司法書士に委任をすることはできません。

遺言執行者の任務と司法書士を指定するメリットを解説します!

遺言執行者に司法書士を指定するメリットは、「相続人が相続手続きの手間から解放されこと」「相続手続きがスムーズに進むため相続人が遺産を早期に取得できること」「相続人が精神的な負担から解放されること」などが挙げられます。

相続人が相続手続きの手間から解放されること

遺言執行者がいない場合は、相続人全員が協力して相続手続きを進める必要があります。また、相続人の誰かを遺言執行者に指定することもできますが、一般の方が司法書士などの専門家に依頼せずに相続手続きを完了させるためには、かなりの労力と膨大な時間がかかります。 以下に遺言執行者が就任してから業務の完了までに行う業務をピックアップいたしました。

  1. 戸籍や住民票などを収集して相続人を特定します
  2. 遺言執行者に就任したことを相続人と受遺者に通知します
  3. 相続財産を調査します
  4. 相続財産目録を作成します
  5. 預貯金の解約手続きを行います
  6. 売却して分配する相続財産については換価手続きを行います
  7. 有価証券などの相続財産の名義変更手続きを行います
  8. 不動産の所有権移転登記を行います
  9. 遺言執行の妨害をしている者がいる場合においてはこれを排除します
  10. 相続人と受遺者に遺言執行の完了報告を行います

かなりの量になりますので驚かれた方も多いと思います。 金融機関や法務局の窓口は平日の日中しか空いていないため、仕事を休んで対応しなければならないこともありますので、司法書士が遺言執行者を選任されれば、相続人は上記のような手間から解放されます。司法書士に遺言の執行を依頼するメリットはかなり多くありますね。

相続手続きがスムーズに進むため相続人が遺産を早期に取得できること

前述したとおり、遺言執行者がいない場合は相続人全員が協力して相続手続きを進めなければなりませんが、相続人の中には非協力的な人や忙しくて協力したくてもできない人がいると、相続の手続きはいつまで経っても終わりません。

また、相続人の誰かを遺言執行者にした場合も、一般の方には専門的な知識がありませんので、相続手続き完了までに長い期間を要することになります。その点、遺言執行の経験が豊富な司法書士であれば相続手続きをスムーズに完了させることが可能です。その結果として、相続人が相続財産を早期に取得することができますので、早期に相続財産を取得したい場合は、司法書士を遺言執行者に指定する方がいいでしょう。

相続人が精神的な負担から解放されること

相続人の誰かを遺言執行者に選任した場合は、「遺言執行者に指定されなかった他の相続人が不満に感じてトラブルに」「遺言執行者が遺産の一部を自分のものにしたかと疑われトラブルに」「遺言執行者は精一杯取り組んでいるものの手続きに長期間を要して手続きが遅いとトラブルに」「結局、ご自身では手続きが進まずに司法書士に依頼することになり、始めから司法書士を遺言執行者に指定していればよかったのに」といったように相続人の一人を遺言執行者に選ぶと多くのトラブルに繋がってしまいます。

このようなトラブルがあると、遺言執行者となった相続人にはかなりの精神的な負担を受けますので、司法書士を遺言執行者に選任することで相続人はこのような負担から解放されます。

遺言書作成と併せて依頼すると、さらに相続手続きがスムーズです。

遺言書の文案作成も高度な専門的な知識が必要になります。もちろん遺言書の作成も司法書士が最適なのですが、遺言書の文案作成を司法書士に依頼する際に、遺言執行者についても併せて依頼しておくと相続が起きたときの遺言の執行がさらにスムーズになります。

遺言書に遺言執行者の定めがない場合もご安心ください。遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し立てることが可能です。

相続が起きると遺族の方々は様々な手続きに追われて忙しくなり、自分たちで遺言執行をするのはもちろんですが遺言執行者を依頼する司法書士を探す時間さえ捻出することが難しくなりますので、遺言書の文案作成を依頼した司法書士を遺言執行者に指定しておけば安心ですよね。

それでは、今回のテーマの遺言執行者と司法書士についての解説は以上になります。

司法書士法人やまぎわでは、今回のブログのテーマである遺言の執行を含めた相続全般についての無料相談を行っています。これから相続の手続きや相続登記をお考えの方は、相続に関するスペシャリストである当事務所にお気軽にご相談ください。

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