はじめに、会社設立に関わらず商業登記全般に共通する押印についてのお話をしたいと思います。
会社関係の登記手続きをする際には、管轄法務局へたくさんの書類を提出します。
そして、印鑑を押す必要があるものには必ず押印しなければいけません。
押印が必要な書類の例として、登記の申請書(書面)もしくは司法書士に依頼したときの委任状、定款、取締役会議事録、株主リストなどがあります。
株主総会議事録については、現行の会社法では押印義務はありませんが、定款に
(株主総会議事録)
第 〇 条 株主総会の議事については、法務省令に定めるところにより議事録を作成し、議長、議事録の作成に係る職務を行った取締役及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名を行う。
などの定めがあった場合には株主総会議事録に署名・記名押印等をする必要があります。
「えっ!? うちの会社の定款にはそんなこと書いてないがいつも押してるよ。」という方もいると思います。旧法では押印義務があったため、現在の実務においてもその名残があります。
次に契印についてのお話をしたいと思います。
契印とは、数ページからなる書類が一連のものであることを証明するために二つの紙面にまたがらせて押す印のことです。そして契印をすることで偽造・変造の防止をして真実性の担保も図っています。
契印が必要な代表的な書類として、株式会社、一般社団法人等を設立する際に公証人に提出する定款があります。
契印の方法として
①すべてのページにまたがって契印する方法
②袋とじにして契印する方法
があります。
株式会社、一般社団法人等を設立する際に定款に公証人の認証を受けなければなりませんが、判子をもっていなくて、印鑑の代わりにサインで契印の代用しなければならない場合があります。
①会社法の規定に基づく外国会社としての登記をしていない外国会社
②印鑑を押印することのできない外国人
は署名等をもって契印に変えることができます。
契印に変える署名の方法として、
①各ページごとに割サイン
②袋つづりに割サイン
③各ページごとに余白に署名
④各ページごとに余白にイニシャルを自書
をする方法があります。
上記の話はあくまでも契印(割サイン)の話になりますので、定款委任状などには、サイン証明書等に記載されているとおりの署名が必要となりますのでご注意ください。