本日は、株式会社における資本金の金額決定方法から資本金の払込の手続きの方法についてお話をしたいと思います。
資本金払込の方法・手順
ステップ1【資本金の決定】
資本金をいくらにしなければならないという定めは会社法にはありませんので自由に定めることができます。
そのため、資本金を1円とすることも可能です。
もっとも、資本金の額を定めるに当たっては、以下の点には留意する必要があります。
①会社の規模や社会的信用として対外的に公示される。
(資本金の額は、登記事項となるため、会社の登記事項証明書に記載されます。この登記事項証明書は誰でも、法務局で取得することができるため)
②金融機関の中小企業向けの融資において、資本金の額の大小は審査要件となる。
(金融機関は必ず回収できるかを検討した上で、融資を行います。そのため、会社に資力があるかは重要事項となるため)
③法人住民税(都道府県民税・市町村民税)の均等割が加算される。
(法人住民税は、均等割と法人税割からなりたっています。均等割は資本金等の額と従業者の数によって負担額が決まるもので、法人税割は法人税額に応じて負担額が決まります。均等割は会社の所得に関係がないため、赤字の会社でも年間7万円(都道府県民税2万円、市町村民税5万円)が課税されます。この7万円は、資本金等の額が1000万円以下、従業員数50人以下の最低基準であるため、仮に資本金の額を1000万円を超えて、1100万円で設立した場合には、法人住民税は18万円かかります。)
④初年度から消費税の納税義務が発生する。
(消費税については、資本金の額が1000万円以上の場合は初年度から免除されなくなります。法人住民税は超、消費税は以上となっているのも注意が必要です。)
⑤許認可の資産要件を満たさないことがある。
(許認可の資産要件として、500万円を基準にしているところも多いため)
以上を踏まえた上で、御社にとって最適な資本金を決定しましょう。
後々、資本金を増加させる手続き(増資)も出来ますのでご安心してください。
では、資本金の額が決定できた方は、次のステップに移りましょう。
ステップ2【資本金の払込方法】
まず、ご用意いただくのは、
①発起人の個人通帳
(発起人とは、会社設立に向けて定款の作成、出資などを行い、会社設立後は株主となる方のことをいいます。)
小規模な会社は発起人と取締役(代表取締役を含む。)を兼ねていることが多いので、その方の既にお持ちの通帳などを使用することが多いです。
もっとも、発起人ではない取締役の通帳も使用することができますが、その際には発起人から取締役へ払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面が必要となります。
ここでは、発起人と代表取締役を兼ねている人について話をすすめていきたいと思います。
②資本金
の2点となります。
では、ご用意いただくものが揃ったら資本金の払込を行います。
ここで、注意していただきたいのは、資本金の払込という言葉からも伺えるように、預金口座に残高があるだけではいけません。
払込をする必要があります。
(1)出金・入金
例えば、預金口座に使いたい資本金の残高がある場合に一度引き出して入金する方法
(2)振込
他の銀行や他の支店口座から資金移動
(例 A銀行A支店 口座名義人○○○○ から B銀行B支店 口座名義人○○○○)
(例 A銀行A支店 口座名義人○○○○ から B銀行B支店 口座名義人××××)
(3)振替
同行同一支店間での他の口座へ資金移動
(例 A銀行A支店 普通 口座番号1111111 から A銀行A支店 普通 口座番号2222222)
(例 A銀行A支店 定期 口座番号 333333 から A銀行A支店 普通 口座番号1111111)
言葉の使い方だけなので銀行さんへ行って最も手数料が安い資金移動の方法をお伺いすればよいかと思います。
何故、このような面倒な手続きをする必要があるの?と思われた方も多いと思います。
入金や振り込みをすることで、通帳には日付が記載されますので、「いつ出資した」かが大事となるためです。
定款の作成後に、資本金の払込をすることが重要な点です。
ステップ3【通帳の記帳】
通帳をお持ちで無い場合は、振込伝票等の受付印のある控えを保管しておく。
ステップ4【通帳のコピーを取る】
①表表紙
②裏表紙
③払込があったページ
※インターネットバンキング等でも同様に上記がわかる範囲を印刷します。
最後に
今回は、株式会社についての資本金の払込方法についてお話させていただきました。
次回は合同会社についての資本金の払込についてもお話させていただきたいと考えています。
合同会社設立と資本金の払込のページを見てみる。
大阪、兵庫で合同会社の設立をお考えの方は、トップページを参照の上、弊所までご連絡いただければ幸いです。
やまぎわやすたか司法書士事務所 司法書士 山際 康峰