未登記建物を相続させる遺言書を作成する場合には注意が必要です。
本来、新築した建物または表題登記がない建物の所有権を取得したものは、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に、表題登記を申請しなければなりません。
民法177条の適用がある以上、登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができなくなります。
したがって、未登記建物を未登記のまま相続させるのではなく、遺言者が生前に表題登記を申請した上で登記済みの建物として相続させるのが理想です。
しかし、なんらかの理由で未登記のままということはよくありますので、その際の遺言書を作成する方法として2つご紹介致します。
- 1つめは、当該建物の建物図面や各階平面図を遺言書に添付して、当該建物を特定するとともに、相続人において速やかに登記申請ができるように、当該建物を遺言者が所有していることを証する書面も添付する方法
- 2つめは、未登記の建物であっても固定資産税を課するものについては、家屋補充課税台帳が作成されているので、当該台帳に記載されている建物を特定する方法があります。
登記された建物は、家屋課税台帳に記載され、未登記建物は、家屋補充課税台帳に記載されます。
未登記建物には、家屋番号の割り振りがされていないので、家屋番号なるものはありません。
不動産を遺言書に記載する場合には、
土地を相続させる場合
- 所在 ○○
- 地番 ○○
- 地目 ××
- 地積 –
建物を相続させる場合
- 所在 ○○
- 家屋番号 ○○
- 種類 ××
- 構造 ××
- 床面積 –
などと書くのが望ましいのですが、
未登記建物は家屋番号がないので、家屋番号を省いて
- 所在 ○○
- 種類 ××
- 構造 ××
- 床面積 –
となります。
余談ですが言葉の概念として、家屋とは人が住むための建物のことで、建物とは、人が住むための建物と人が住む以外の用途の建物も含まれます。
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やまぎわやすたか司法書士事務所 代表 司法書士 山際康峰